第78回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞のノルウェー映画『センチメンタル・バリュー』。親と子の埋められない距離を静かに描いた作品で、Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下で鑑賞しました。


作品・上映情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | センチメンタル・バリュー |
| 監督 | ヨアキム・トリアー |
| 受賞 | 第78回カンヌ国際映画祭グランプリ/アカデミー賞国際長編映画賞 |
| 上映館 | Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下 |
| アクセス | JR渋谷駅より徒歩1分(地図) |
センチメンタル・バリュー|あらすじと見どころ
『わたしは最悪。』のヨアキム・トリアー監督の最新作。第78回カンヌ国際映画祭グランプリ、アカデミー賞国際長編映画賞を受賞したノルウェー映画です。
両親が離婚し父が去ったあと、姉妹はある家に住み続けた。かつてそこに暮らしていた祖母は、ナチスに反対したとして拷問を受け、その家で自ら命を絶った人物だった。重い歴史を持つ家で、姉妹は育った。
姉のノーラは舞台女優だが、幕が開く瞬間いつも逃げ出しそうになり、スタッフに引き止められる。妹のアグネスは夫と息子と静かな日常を築いている。そこへ15年ぶりに父が戻ってくる。
父は映画監督で、その祖母の物語を脚本にした復帰作の主役としてノーラにオファーする。撮影地も姉妹が育った家で、と伝えるが断られる。代わりに選ばれたアメリカの若手スター(エル・ファニング)は抜擢を喜ぶが、「監督は私を通して娘を見ている」と気づき、自分には演じられないと役を降りる。
後に妹アグネスは脚本を読み、それが離れて暮らしてきたノーラのために書かれたものだと気付く。父なりの、娘への言葉だったのかもしれない。
父と娘の和解を、時間をかけてゆっくりと描いた映画です。
センチメンタル・バリュー 感想・レビュー
全体的に明るく元気な雰囲気はなく、静かにずっしりと重さが積み上がっていく映画でした。
印象的だったのは、舞台女優の姉ノーラです。不倫をしていても本当の愛が得られず、散らかった部屋にひとりでいる場面に、言葉以上の孤独が滲んでいました。父もまた同じように孤独を抱えていて、互いに距離を縮めたいのに縮められない、その不器用さが胸に刺さります。
「血がつながっていても、離れていれば他人に近くなる」という感覚がリアルに描かれていて、家族との絆がテーマとなる作品でした。
静かで重厚な余韻が残る、観る人によって受け取り方が異なると感じた作品でした。
※以下、一部ネタバレを含みます。祖母の回想シーンと、父が映画の撮影をするシーンが交錯する場面で、どちらが現実でどちらが回想なのか一瞬わからなくなる演出がありました。祖母の自殺シーンも含まれているため、そのリアルさと曖昧さが重なって、怖さとして静かに積み上がってきます。
こんな人におすすめ・おすすめしない
おすすめな人:静かで重厚な人間ドラマが好きな方、カンヌ受賞作を追っている方
おすすめしない人:わかりやすいストーリー展開やハッピーエンドを求める方
Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下について
ハリウッドや大手配給ではなく、ヨーロッパや各国の単館系作品を上映する映画館。渋谷駅から近くアクセスも良いです。館内は少しレトロな作りで、エレベーターの扉が開いた瞬間から非日常空間が始まる感覚があります。客層は男女・年齢問わずさまざまで、一人で来ている方も多い。「今流行っているから」ではなく、「観たいものを観る」という人が集まる場所という印象で、みんなが自分の好みに素直に時間を楽しんでいる雰囲気がありました。
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